ドッグランは百害あって一利なしなの?

昨今では急激にドッグラン利用へのアンチが増えていますね。

「ドッグランに一利無し」
「ドッグランは動物福祉に反する」
「ドッグランに行く人は情報弱者だ」

など。
※ちなみに当所では20年以上前からドッグランには連れていかない旨を主張していますが。

Googleで
【ドッグラン 行かない方がいい】
【ドッグラン ダメ】
などで検索すると、デメリットが山ほど出てきます。
だけど、どうも本質からズレた回答が多いようです。

例えば、「知らない犬同士が逃げ場のない囲われた環境に入れられて楽しいと思いますか?」とか「利用するなら犬のストレスサインを見抜けるようになりましょう」とか。
そもそもストレスサインチェックはドッグラン利用時に限らないし、「思いますか?」などは個人の感想なので理論的な根拠はありません。

まぁいろいろな言い分がある中で、犬同士のトラブルや人間同士のトラブル、マナーが悪いなど、ドッグラン以外でも共通しているデメリットに関してはここでは言及しませんが、ドッグランという固有の施設の利用においてのみ起こり得る本質的なデメリットとしては大きく2つあります。
ひとつは、
常用すると犬が興奮しやすくなるという点です。
これについての詳しい内容は【愛犬の引っ張りに「逆逆歩き」「止まってアイコンタクト」やっても効果なかった人は読んでください】
https://note.com/dogschoolelf/n/n1cce1f50a106?sub_rt=share_b
に書いてありますので、そちらをご覧ください。

飼い主の言う事を無視するようになるとか、飼い主より他の犬に興味が強くなるとかは、この副産物となります。

そしてもうひとつ、
こちらについてはドッグトレーナーもあまり言及されることが少ないように思えますが、

施設の広さに対して犬の頭数密度が多い

という点です。

日本に多いチワワやトイプードルなどの小型犬を例に、AIで『犬自身が自分で他者との社会的な距離を保てる最低限のパーソナルスペースは?』と質問したところ、約10m²という回答がありました。
これは1頭につき6畳間程度の広さとなります。
そう考えると、日本の都市部によくあるドッグランにおける犬の頭数密度がいかに高いかがわかりますよね。

広いドッグランとして有名な東京・代々木公園のドッグランの広さが3620m²。大中小型犬でエリアが分けられています。
どこかのブログに書かれていましたが、ある日曜日では、お昼の1時間で166頭のワンちゃんがドッグランを利用し、そのうち163頭が大型犬・中型犬だったそうです。
大型犬に必要なパーソナルエリアは1頭につき20〜25m²(12〜15畳)とのAIの回答を参考に計算してみましょう。

・大中型犬エリアの広さ
3620m²÷3=約1206m²
×2=約2412m²
(※実際はもう少し広いかもしれません)

・1頭の健全なパーソナルエリアを23m²とした場合の上記エリアおける頭数上限
2412m²÷23m²=104頭

この計算は正確ではありませんが、おおよそ健全に過ごせる試算が104頭とした場合でも、163頭がいかに過密かがわかりますね。

実際にはドッグラン内では犬同士が遊んだり走ったりするので、私の考えでは代々木公園のドッグランの1エリアあたりの頭数密度はそれぞれ10頭以下であると考えています。

この寿司詰め状態のドッグランが健全であるわけもなく、だからこそ先の、
ドッグランに一利無し
の理屈になるわけです。

逆を言えば、
大型犬なら50〜100m²に1頭程度の密度で、常用しないのであれば、本質的にはドッグランの利用に害は無いと考えています。
まぁ現実的ではありませんが…

例えば、中野区平和の森公園にあるドッグランの広さは大中型犬エリアで約200m²なので、2〜3頭が理想的ですが、実際には10頭近くの犬とその飼い主が詰め込まれているので、トラブルが絶えません。
ですから、常用せず、混雑する時間帯を避け、利用頭数の密度が高まってきたらランを出るなど心掛けながらの利用なら、愛犬の楽しみのひとつになり得ると思います。

思いやりとお互い様の精神でマナーよく利用したいものですね。