犬のしつけにおける「誉める」ことの重要さは、前回お話しました。
しかし、それは決して「叱らない」という意味ではありません。
犬を叱るというと、非常に聞こえが悪いのですが、皆さんも子供の頃は、ご両親に叱られながら社会のルールを学ばれてきたはずです。
そもそも「叱る」とは「怒る」ことではありません。
「怒る」というのは、単に自分の感情を相手にぶつける行為ですが、「叱る」というのは、節度をもって社会のルールを教えることです。愛犬の好ましくない行動に対して、きちんと「NO」を言えることは、愛犬との絆を深めるためにも、とても重要な要素です。
では実際に愛犬を注意する際には、どんな言い方が適切なのでしょう?
今回のテーマのように、叱る声は低音でというのはよく耳にしますね。実際に試された方も大勢いらっしゃるのでは?
では結果は?
大半の方は、それほど効果を感じなかったのではないでしょうか?
それもそのはず。犬は人間の言葉よりも、その人から発せられる感情を敏感に感じとります。
あなたが心から喜べば、愛犬も尻尾を振って喜びます。あなたが悲しめば、愛犬はあなたを慰めよるようにそばに寄り添い、あなたが怒れば、耳を下げて部屋の隅へ逃げようとするでしょう。
大切なのは、言い方よりも、その言葉に込められた感情です。ですから皆さんが心がけるべきは、意識的な低い声ではなく、「毅然とした態度で接する」という心構えなのです。
愛犬のテンションに振り回されて命令を連呼したり、感情的になって金切り声をあげても意味はありません。
『毅然と接する』
そうすれば、自ずと低く重く説得力のある口調に変わることでしょう。
誉めてるだけのうちは「お客様」。叱れて初めて「家族」になります。
愛犬を叱ることを、不必要に恐れる必要はありません。
しかし、叱るというのは誉めるより1万倍も難しいことです。言葉の通じない相手を諭すわけですから、コツは山ほどあります。
うまくいかないと感じたら無理をせず、しつけに失敗する前に必ずプロに相談してください。