私のところへきた相談者たち〜ギャン吠え〜チワワMIX♂【愛犬の問題行動専門ドッグトレーナー】エルフドッグスクール 東京

その日、依頼をうけた私がその方のご自宅を訪ねると盛大なギャン吠えで2頭は私を出迎えた。
飼い主さんの話を聞きたくても1m離れただけでもうお互いに何を言っているのか聞き取れないくらいのギャン吠えである。

当所に寄せられる愛犬の問題行動(ここでは読者がイメージしやすいようにそう呼ぶことにする)で、噛みつきと同じくらい多いのが【吠え問題】である。

こちらのギャン吠えの原因の根っこは、過干渉であると早々に予想がついた。
なぜなら、飼い主は吠えている愛犬にずっと声をかけ、抱っこして押さえようとしている。
このような対応は、専門用語で言うところの
・バリアフラストレーション
・被助長性攻撃
・正の強化
・負の強化
を引き起こす可能性はとても高い。

飼い主の過干渉が愛犬のギャン吠えを引き起こすことは多々ある。
ただ私の経験上、このギャン吠えというのは
興奮パニック性と恐怖パニック性
の二種類に大別できると思う。

こちらの案件は恐怖パニック性のギャン吠えと目測をたてる。
理由は、
・体の震え
・ギャン吠え時に食べ物を提示されても興味をしめさない
・私の行動への監視的な注目と反応
・逃避行動
・攻撃行動
などの行動が見られるから。

この子達は、実はすでに2人のトレーナーから指導を受けてきていて、私で3人目。
ご自身が頼りないから愛犬が吠えてしまう。愛犬達に申し訳ない。と、ご自身を責める言葉が多く、実はそれがまた新たな過干渉をうんだりして悪循環になっていた。

以前のトレーナーからは、「毅然とした態度で」とか「声かけにメリハリをつけて」とか、
ようは「あなたの飼い方はダメダメですよー」と言われ続けてきたこの飼い主さんは、なんとかして信頼関係を作ろうと四苦八苦するが、そもそも関係がうまくいっていないところに更に行動を増やすと、結果は悪くなるに決まっている。
しょっぱい煮物に醤油を足したら余計にしょっぱくなるわけだ…

こういうケースでは足し算より引き算のほうが良い結果が出る。
つまり、愛犬との積極的な関わりを減らすのだ。
多くのドッグトレーナーは「〇〇をしなさい」と足し算の関わりをさせようとする。それでは良い結果にはなかなか繋がらない。
しかし、「△△するな」も実は難しい。
なぜなら、過干渉の飼い主はすでに過干渉になりやすい性格だからだ。声かけするなといってもしたくてたまらないし、しないと不安という人は多い。
だから大切なのは密度の濃いカウンセリングだ。飼い主の性格を分析してやってもらえる課題を提示する。失敗は責めずに、できないことはアプローチを変えて提案する。それを繰り返し結果を出す。

愛犬のギャン吠えで困ってプロに依頼をした経験のある飼い主さんアルアルだと思うが、
・床にトリーツを撒く
・トリーツで呼び寄せる(だけ)
・吠えやむまで無視
・抱っこしたらダメ
などはまず無意味なのでぜひやってみてほしい。

ギャン吠え改善のためのトレーニング方法で、抱っこNGはセオリーなのだが、私はそれを踏まえて抱っこを推奨している。
ただし、前提としての抱っこの意義が違うわけだが。
そのやり方は、すでにご購読いただいた読者もいらっしゃるので、ここでの公開はご容赦願いたい。

ちなみにこのワンコはこの方法で、抱っこの間は少し静かにしていられるようになってきている。
そして、今年に入ってすでに4頭のギャン吠えワンコがこの方法で改善に向かっている。