私のところへきた相談者たち〜噛みつき〜トイプードル7歳♂【愛犬の問題行動専門ドッグトレーナー】エルフドッグスクール 東京 練馬

お仕事は一線を退かれているが、またまだ元気なご夫婦が飼われているTプードルは抱き上げることができない。
下半身に少しでも違和感を感じると逃げるか、ひどい場合は噛みついてくる。
リードの付け替えも噛みつくからできないということで、リードは付けたままだ。

現在イージーコースで週に1回程度のお伺いで改善のためのトレーニングを行っている。

噛みつくのに週3回の密なトレーニングではなく、週1ペースで行っているのは、通常の生活で噛みつくことがほぼ無いからだ。
怒るのはもっぱら後ろ足関連の刺激か、何かをしつこくされたときなどに限っているので、こちらからお願いする課題を1週間こなしてもらうだけでも結果は出ると予想してのこと。肝は、下半身への刺激に対する脱感作だが…これがなかなか手強い。
逆に言うと、ここさえ乗り越えれば改善の道は見えてくる。

スモールスッテップでの脱感作と、感情コントロールのためのマテトレーニングはセオリー通りなので、私が言わなくてももうご存知のこととして話を進めたい。

ここで付け加えたいのは、認知機能向上トレーニングだ。なぜなら、この様なケースに圧倒的に多いのが認知機能の低さだからだ。

なぜそれがわかるのかというと、まず嗅覚を使うことが下手で、床にフードを撒いても見つけられずに足元を素通りしてしまう。犬の最大の能力である嗅覚を使えないと言うことは、人間なら目が見えないことと同等に考えてよいかもしれない。

もうひとつは身体的不器用さである。
クレートやキャリーバッグに入れようと、フードをキャリーの奥に置いて誘導する。すると、後ろ足をピーンと伸ばして絶対に中に入ろうとしない。仮に入っても、中で回転ができずお尻から出てくる。
この行動を私は自分の経験から犬の認知機能の低さゆえと推測している。
なぜなら認知機能の低い人間の子供に見られる身体的不器用さに酷似していることと、キャリー等の中で回転できない犬のほぼ全てが、嗅覚を使うことの不器用さを併せ持っているからだ。
加えてこの犬は、床に直接置いた低いハードルをまたぐことを躊躇し、人間の膝の上に後ろ足を乗せることもできない。
これは、自分の下半身の動きや大きさ等への知覚意識が弱いことが原因と考えられる。

この場合、セオリー通りのトレーニングに加え、認知機能を向上させるトレーニングを並行して行う。

現在5回のトレーニングを行い、キャリーの中でのマテはできるようになってきたが未だに頭から入ってお尻から出てくる。閉めようとすると慌てて飛び出し、反復練習が続くと苛立ってくる。

集合住宅なので、共有部の移動は抱っこかキャリーに入れてくれと注意されたと言うことで、7歳になっての初トレーニングを余儀なくされたわけだが、強制的な手法を使わずにトレーニングを進めるためには、超スローペースもいたしかたない。