【愛犬の人への飛びつきをやめさせたい】
こんな相談をドッグトレーナーさんにすると、時々「飛びつきをやめた時にご褒美(食べ物など)をあげて褒めましょう」と言われます。
ごめんなさい。実はこれ…
大間違いなんです。
もしこの方法で愛犬の人への飛びつき行動が直ったとしたら、それはこの方法の効果ではなく、違う要因です。
理由は、行動連鎖です。
行動連鎖とは、
ある一連の行動の最後の行動を強化することで、一連の行動すべてが強化されること
です。
例えばこんな経験ありませんか?
愛犬さんにゴハンをあげるとき、
オスワリ→オテ→オカワリ
をさせた後にヨシと言ってゴハンをあげる。
そうするとそのうち愛犬さんは、あなたのオスワリの指示に反応してオスワリをした後に、あなたは何も言わずとも勝手にオテしてオカワリする。
あなたはそれを微笑ましく思ってゴハンをあげる。
この一連の流れが行動連鎖です。
オスワリ・オテ・オカワリはそれぞれ個々にご褒美を与えているわけではありませんが、オスワリ→オテ→オカワリの順での行動の最後に、ゴハンという好条件が出現することで、一連の行動すべてが強化されます。
これと同じことが、
「飛びつきをやめた時にご褒美(食べ物など)をあげて褒めましょう」
で起こります。
つまり、この方法で考える人への飛びつきをやめさせるとは、その前に人に飛びつくことをしないと成立しないので、以下の行動連鎖となります。
前足を地面につける→人に飛びつく→前足を地面につける→ご褒美の出現(※これを順行連鎖と言います)
この一連の行動を連鎖で強化するので、犬の飛びつきは絶対に直ることはありません。
それと、犬はなぜ人に飛びつくのですか?あなたは飛びつかれた後にご褒美をあげたことがありますか?
実は犬の人に飛びつくという行動は、行動内在的好子といって、その行動自体がその行動を強化する報酬となります。
例えば綺麗好きの人であれば、部屋を整理整頓しますね。これは外からの何からも誰からも報酬を得ませんが自分の中で気持ちが良いので行動が強化されます。
飛びつきはこれと同じように、飛びつきこと自体が楽しいので飛びつき行動がいつまでも強化されます。
ですから、正の強化で愛犬の人への飛びつきを直す手順は、
前足を地面につけている状態に報酬を与え続ける(食べ物を与え続ける必要はありません。ナデナデなどをし続けましょう※正の強化)
→人に飛びつく(無反応※消去)
→前足を地面につける(再びなではじめる※正の強化)
つまり、飛びつく前の状態で褒め続け、犬が飛びついたら褒めるのをやめ無反応になります。目も合わせません。そして犬が再び前足を地面につけたら、こちらも再び褒め続けます。
これが飛びつきをやめさせる行動変容のための正しい手順です。
先に記述したように、飛びつきはその行動自体が好子となり得ますので、飛びつきをよけて行動を成立させないことができるとより結果は明確になります。