先日のNHKの番組『プロフェッショナル仕事の流儀』内にて、北栃木愛犬救命訓練所の中村信哉訓練士がとりあげられて、結構な反響を呼んでいます。
僕のまわりのプロ達の間でも、賛否両論あります。
いわゆる体罰についての賛否です。
賛の人は「中村訓練士はすごい!」だし、否の人は「中村訓練士は勉強不足の古い訓練士」といいます。
僕にはこの賛否は何が言いたいのかよくわからない。
そもそも、出張でできる訓練と、委託訓練とでは、できる内容が違います。
出張訓練では、体罰強制訓練をすると、犬に与えた圧力は飼い主さんへ跳ね返り、攻撃行動は悪化します。
だから行えない。
それは、技術や知識で中村信哉訓練士に劣るという意味ではありません。
逆に、重度の噛みつき犬を、預かりで強制トレーニングしたことのある人間であれば、番組内に登場したまめ蔵君程度の噛みつきは、なにも驚くような事態ではなく、予想の範囲から脱しません。
つまり、普通のことを普通にやっているだけなので、賛否を問うこと自体がおかしな話であるということです。
当所は出張専門のトレーニング施設です。なので強制訓練は使えません。
前述したように、強制訓練によって受けた圧力は、必ず飼い主さんへ跳ね返るからです。
なので当所では、トレーニング以外で攻撃性を減少させる方法をとっています。
もちろんトレーニングと平行してやっていきます。
中村訓練士が番組内で、「矯正までに平均8ヶ月かかる」と言っていました。
出張の場合は強制訓練が使えない分、期間は余計にかかります。
それまで犬と一緒に暮らしていくのが難しい人は訓練所に預ければいいし、一緒に頑張っていこうと思えるならば出張訓練でいいのではないでしょうか?
上下の話ではないし、特別な話でもないということです。
写真の柴犬さんは、当所で現在トレーニング中の重度噛みつき犬です。
2ヶ月でずいぶん顔つきが変わってきたでしょ?