犬の行動学 似たような言葉解説シリーズ第2段『感情』と『情動』

似たような言葉解説シリーズ第2段。
『感情』と『情動』

第1段は『転位行動』と『転嫁行動』
http://www.elfdogschool.com/blog/2020/11/post-871.php

感情と情動。

これもまた似たような言葉になるのですが、
『感情』は心の動きであり、悲しいとか嬉しいとかが感情です。
感情は内視、つまり自分自身にしかその感情はわかりません。

対して『情動』は、情が動くの字のごとく、感【情】が行【動】に現れたものなので、他人からも認識できます。
悲しくて涙が出るとか、おかしくて笑うとかは、感情によって引き起こされた『情動』です。

情動は他者からも見えるため、その行動からその人の感情が判断できます。
例えば、泣いている人がいたら、その人はきっと悲しいのだろうと判断がつきます。
では、泣いていない人は悲しがっていないのでしょうか?

それは違います。泣いていないからといって、その人は悲しがっていないとは言い切れませんよね。
泣いていなくても、その人は悲しがっているかもしれません。
では、行動に現れない感情はどうやって判断すればいいのか?

犬の話をすると、犬が悲鳴をあげたり、耳を下げたり、尻尾を振ったりするのは、感情によって引き起こされた情動ですから、カーミングシグナル等を知っていれば容易に感情の判断はできます。

ですが、犬は音声言語がない(発声の強弱高低長短を言語とする見方もある)し、情動の起こらない感情はどうやって判断するのか?
それは、快・不快の自由選択行動(オペラント行動)を見て判断します。
犬にとって快ければ求めるし、不快なら避けます。
その行動を見て、彼らの感情を予測します。

つまり、犬の感情を理解したいなら、オペラント行動が起こる理屈を理解しなければならないわけです。

ただし、自由選択行動によって理解できるのは快・不快の別であって、幸・不幸ではないことを勘違いしてはいけません。