愛犬を擬人化することは良くないこと?【擬人主義と行動主義】犬の問題行動専門ドッグトレーナー 東京都内 練馬 杉並 中野






【擬人主義と行動主義】

擬人主義とは・・・人間以外の動物にも心的な物があって、それは人間の心から類推できるという考えで、わかりやすく言うと、自分がされて嫌なことは相手にしないってのを動物に当てはめてる感じです。
自分がされて嫌なことってのは、自分はもちろん嫌だと感じています。自分の心だからそれはわかりますよね。これを内視と言います。
しかし、自分がされて嫌なんだから、相手もされたら自分と同じように嫌なはずだ。これは類推です。
でもこの類推って、なんの根拠もありませんよね?
自分が嫌だと感じることが相手にとっても嫌に感じるかどうかも、自分が好ましく感じることは相手も好ましく感じるかどうかも、自分の経験に基づいた推論を相手に当てはめているに過ぎないし、なんの根拠にも証明にもならないんです。
極論を言うと、擬人主義ってのは押しつけのストーカーの考え方で、
【自分がこう感じている・思っているんだから、きっと相手もそのはずだ】
っていう考えであって、擬人主義は危険と隣り合わせなんです。
特に日本人は欧米人に比べてペットを擬人化しやすいというデータもあります。

「動物にも魂があると思うか?」という質問に
あると答えた日本人は77%に対し、英国人は19%
「動物に死後の世界があると思うか?」という質問でも
あると答えた日本人は47%に対して英国人は18%

行動主義とは・・・相手の心の推測の根拠は、快不快の行動選択によって見ることができるという考えです。
ヒトも他の動物も、快は得ようとするし不快は避けようとします(オペラント行動・自発行動)。
オペラント行動を観察することによって、彼らが強制されずに自分の意思でどんな行動をとるかが見えるわけです。
行動主義によるオペラント条件付けの進歩は、動物の私的出来事を外から見える行動にすることに成功しました。彼らが何に苦しみ、何を欲しているのかが明かにできるようになったわけです。
オペラント条件付けに代表される様々な行動研究の手法は、彼らの私的な快不快の公化を可能にしていくでしょう。

つまり、動物の自発行動を見れば、彼らが心地よいと感じているのか不快を感じているのかがわかります。その行動をとったプロセスを理論的に説明できるわけです。それは、彼らがどう感じているのかを理論的に説明できるようになったということです。

ただし、擬人主義が悪と言っているわけではありません。
例えば動物福祉の考え方なんかは、いわゆる擬人主義的な共感に基づくもので、人間が経験した痛みや苦痛を擬人的にヒト以外の動物へ当てはめるわけですが、これについては一概に擬人化が悪いとは言えませんよね。
ただし、擬人化は、あくまでみなしであることを自覚することが大切です。

犬の幸せはこうとか、犬はこう望んでいるはずだとか、私はこんなに犬を愛しているなんてのはまったく根拠がない話であって、自分が経験してきた価値観内での推論でしかありません。
大切なのは、犬が、動物が、どういう本能や欲求を持っていて、彼らが選択した行動を分析することで、彼らが心地よいのか不快なのかを判断しましょうということです。そのためには人間は彼らを知る努力をしなければならないのです。