愛犬のギャン吠え なんで?【愛犬の問題行動専門ドッグトレーナー】エルフドッグスクールは東京練馬 中野区 杉並区 新宿区 港区 文京区 中央区


Q:犬が見知らぬ人に対して吠えるのは社会化不足だと思っていたのですが、元野犬で人慣れしていない成犬でも人に対して吠えない子もいますよね。
これはなぜですか?

先日、クライアントさんからいただいたご質問が興味深かったので、私見を論じます。

A:このご質問へのanswerは、自由意思でその場からの逃避ができるかできないかの違いによって起こる行動の変化と思われます。
野犬は、警戒すべき対象と対峙した時、吠えて相手を排除させるより、逃避もしくは唸るなどの攻撃予告行動を選択します。同種による対峙であっても、吠えて排除させようとせずに、カーミングシグナルを出しながらお互いを観察し、どちらも退く様子が見られない場合には直接的な争いになります。
不必要な争いを避けるための彼らの文化と言ってもいいかもしれません。

対して家庭犬の場合、リードやサークルにより行動の制限がされるため、自由意思で相手と適切な社会的距離をとることができません。
そのため、警戒すべき対象と対峙した際に逃避ができず、限界になった緊張は、パニック様の『吠える』という行動に転嫁します(バリアフラストレーション)。その結果、吠えたら相手が離れる・吠えたら飼い主から声をかけられる等の学習により吠え行動は強化され、その環境が繰り返されることで吠え行動が常態化するのだと考えられます。
なので、他の犬・人に対して吠える犬は、皆一様にパニック様のギャン吠えになるのだと思います。

家庭犬において、この行動の改善を考えたとき、理論的にはバリアフラストレーションからバリアを除けば吠え行動は止むように思えますが、実際はうまくいかずに、当該犬が対象刺激へ突進していくケースも多いです。
この場合、飼い主が行動を止めようとし続けてきたことが常態化し、行動が強化され続けてきているので、バリアを除くと対象刺激への直接的な攻撃になることもあります。
ここまで行動が強化されている場合は、声かけの見直し・リードワークの見直し・犬からアテンションを得る行動強化・マテの強化・刺激に対する系統的脱感作などを複合的にトレーニングしていく必要があります。