ノーズワークで拾い食いは無くなる?【愛犬の問題行動専門ドッグトレーナー】東京 練馬 エルフドッグスクール


Q:ノーズワークは拾い食いをやめさせるトレーニングをしている子には不向きですか?

A:ノーズワークは犬の嗅覚を刺激して作業や学習をさせることを目的としたトレーニングです。高い嗅覚は犬に生得的に備わる能力なので、ノーズワークを行うことに向き不向きはありません。
ノーズワークをすることによって犬の拾い食いが増えるか?とか、ノーズワークと拾い食い防止トレーニングは平行してやってよいのか?というご質問でしたら、答えは「直接的な関係は無い」です。

まず、犬の拾い食いは2種類あります。
①パンなどの食べ物を見つけて拾い食いをするパターンと、②石やタバコなど、食べたら害のあるものでも拾い食いをするパターンです。

①の場合、【ノーズワーク+その他の拾い食いをやめさせるトレーニング】で拾い食いの改善が可能です。
・ノーズワーク中の拾い食いOK
・ノーズワーク中以外の拾い食いNG
という2つの随伴性を学習することで、ノーズワーク中以外の拾い食いは改善されます。
ノーズワークのスタートとエンドの合図が
スタート→以降拾い食いOK
エンド→以降拾い食いNG
の明確な合図になりますから、犬にはとても理解しやすいです。

・ノーズワーク中の拾い食いOK
・ノーズワーク中以外の拾い食いOK
にしてしまうと、拾い食いは全般に改善されません。

ノーズワークだけやれば拾い食いが改善されるということはないので「直接的な関係は無い」わけです。
ちなみに、ノーズワーク中以外の拾い食いをやめさせるトレーニングは山ほどありますから、ここでは解説しません。

②の場合は、そもそも食べられる物と食べられない物(食べたら害になる物)の区別がついていません。石を食べ続けたら死ぬわけですから、自然界においてこのような行動はあり得ないわけです。
ではなぜ犬は石やタバコなどを拾い食いするのでしょうか?
理由のひとつは認知不足です。つまり、目の前に転がっている物が食べ物かどうかの知覚が乏しいということです。子犬の頃から人間によって口に入れるものの制限を受けていますから、自分の経験から学習する機会が少ないんです。
この場合、ノーズワークにより嗅覚を使わせることは有益で、食べ物を探させるは、逆に言えば食べられない物を無視させるということになりますから、食べ物とそうじゃないものの認知が可能になります。
SNSの投稿を見ても、普段から認知機能を高める生活を送れていると思われるワンコは、拾い食いをしない傾向がみられます。
そして、認知機能を高めるトレーニングはノーズワークだけではないので、こちらでもノーズワークの実施と拾い食いの減少は「直接的な関係は無い」ということです。

拾い食いの理由は①で②でも、空腹・栄養不足・欲求不満・飼い主による行動強化など理由がたくさんあるので、ノーズワークは改善のための1手段であるということです。