オヤツを使ったトレーニングは良い?悪い?【愛犬の問題行動専門ドッグトレーナー】エルフドッグスクール東京練馬 中野区 杉並区 文京区 新宿区 豊島区 中央区

ポジティブトレーニング、つまり正の強化トレーニングは、犬をオヤツという報酬で釣っているだけの操り人形をつくる行為か否かという議論が度々起こります。

ポジティブトレーニングは、行動後に報酬が出現するとその行動の生起頻度が増えるという行動のシステムを応用して、人間が望ましいと思う犬の行動にオヤツ(報酬)を与え、その行動の生起頻度を増やすというトレーニングです。
このトレーニングが、犬をオヤツで釣って教えているのか否かの議論は度々起こりますが、実はどちらも前提が見落とされてるのでメチャクチャ不毛な議論なんです。

正の強化をうけた犬の行動の生起頻度は上がるので、学習の結果犬は直接オヤツの提示が無くてもその行動をとるようになります。その意味では、ポジティブトレーニングは犬をオヤツで釣るトレーニングではないと言えます。
ですが、正の強化によって生起頻度が上がった行動も、行動後のオヤツの授与をやめると、強化されていた行動も無くなっていく場合があります。 これを行動の消去といいます。
この場合、目指す報酬は結局オヤツであるため、後件肯定としてオヤツで釣っていたと証明されます。

つまり、両者は同じ結果に対する主張で争っているようで実はまったく違うので、意見が交わることは絶対にありません。

このオヤツで釣ってる釣ってない論争は、大前提が抜けていて、
つまりは、オヤツを抜いてもその行動は維持されるか否かということなんです。
オヤツを抜いても行動が維持され続けるのであれば、それはオヤツ以外の行動強化材料が存在しているのでオヤツで釣っていないと言えるし、行動が消去されたのであれば、直接オヤツの提示が無かったとしてもそれはオヤツで釣っていたという証明になります。

例えば、 サラリーマンのAさんが毎日出勤するのは、お金に釣られてか否かを問うとき、 お給料を下げたり無くしたりしても出勤が続くのであれば、お給料以外の、例えばやりがいのような強化材料があるということですし、出勤をやめるようならお給料が最大の出勤行動強化材料であったと考えられるわけです。

ポジティブトレーニングは人道的な犬のトレーニング方法として広く普及しています。 ですが、結局はそれも行使する人間次第では犬を操り人形化するということです。
つまり、ポジティブトレーニングがオヤツで釣る方法なのか否かは、方法論ではなく使う人の倫理論であるということです。

大切なのは今も昔も、オヤツを使っても使わなくても、 その行動は犬と人の絆によって維持されているのか否か という点なんです。 その過程として、人道的なポジティブトレーニングが選ばれることはよろしいことと私は考えます。